映画夏目友人帳 感想
『劇場版夏目友人帳 うつせみに結ぶ』を観てきました。
観終わった後のあの「満たされた」という感覚がとても心地よくて、久しぶりの感覚でした。映画が終わった後しばらく席を立てないような、明るくなった瞬間ほうと思わず息をついてしまうようなあの感覚。
スクリーンでも変わらずいつもの夏目友人帳だったんですが、大画面でじっくりと観る夏目は胸に染み入る心地よさがより一層気持ちよかったです。感想を一言で表すのなら「いいものを観させていただいた」ですね。
こうして1期の頃から変わらない夏目友人帳の世界を映画館で観れているという事実に感無量です、本当にありがとうございます映画館通いつめます……。
以下、感想。
時系列バラバラでポロポロと書いていきます。
・まず出だしから背景がとてつもなく綺麗。音楽も綺麗。どこだったか忘れたけど夏目くんが走っている時の音楽があまりに綺麗すぎました。さらに言葉も綺麗。最後の「ヨリエさんの悲しみは、柔らかに着地したかのように見えた」という言葉が綺麗すぎて優しくて泣きそうになりました……。
・夏目友人帳に対する感情が強すぎてわりと冒頭の夏目くんがヨリエさんの果物を拾って手渡しする場面でボロボロ泣きました。
・ニャンコ先生の可愛さ異常じゃなかったですか???
公開前から可愛いな~とは思ってたんですけどあまりにあざとすぎるだろうって思ってたもので……。なんか目にハイライト入ってるし、3匹いるし小さいし、可愛いけどあざとさに振りきりすぎでは?とか思っていたのに実際に劇場で見たら可愛すぎてそんなこと思ってたの全部飛んでいきましたね。
ニャンコ先生が分裂した瞬間、劇場内が少しざわってなったの感じましたからね。ボソッて「可愛い……」って声が聞こえましたからね。私ももう少しで声に出して言うところだった、危なかった。DVDが出たら思う存分家で可愛いって言おうと思います。
トリプルニャンコ先生は本当にとてつもなく可愛かったんですけど先生役立たなさすぎじゃない??なんかずっと食べてなかった??まさか先生の食い意地のせいであんな大変なことになるとは思わんでしょ……先生……。
あと先生が復活した時、なんて言ってるのか何回聞いても聞き取れないんですけどあそこなんて言ってるんですかね??「にゃんぱらりー!」って聞こえたのは私の気のせいなのかどうか気になります。
・田沼くんのポン太呼びめちゃくちゃ好きなんですけど、最近あまり呼んでくれなくて寂しかったので映画でポン太って呼んでたのとても嬉しかったです。ポン太と呼べば出てくると思ったのだろうか。
・改めて藤原家三人がニャンコ先生に対する呼び方バラバラなの面白いなと思いました。なぜ誰も合わせようとしないのか。
・犬の会めちゃくちゃ大好きなので出番が多くて嬉しかったです!中級可愛いよ~!中級と田沼くんは接触ないはずなのにニャンコ先生を探している田沼くんが来た瞬間、安心する中級たちとても好きです。
・「田沼に話せてよかった」「明日、もう一度田沼と探しに行こう」って夏目くんがごく普通に田沼くんを頼りにしているのが見ていて何か嬉しかったです……今までずっとお互いどこまで踏みこんでいいのか悩んでいたのに、自然に相談しているの見ると今までの積み重ねを思ってしみじみとよかったねぇみたいな気持ちになる。
・多軌ちゃんめちゃくちゃ可愛かった。最後ニャンコ先生~!!ってぴょんぴょんって飛び跳ねる多軌ちゃんめちゃくちゃ可愛い。あと白ワンピース姿珍しくてすっごく可愛かったんですけどほんの少し怖くもあるなって……。田沼くんが言っていた「知っているはずなのに、実在感がない」という感覚をイメージさせるような。
・もう少しで言葉にできそうでやはりうまく言葉にできないんですが、委員長が弁論大会で言っていた言葉がすべてなんだろうなあって思います。
「形あるものはいつかは壊れ、記憶さえも徐々に薄れていずれ無くなってしまうかもしれない。けれどこの出来事によって私は人の優しさを知り、人との関わり方を変えるようになった。その変化はさざなみとなって私を形作る。それが世界の仕組みなのだと気づいた」
大分うろ覚えなんですけどこの委員長の台詞を丁寧に丁寧に表す映画だったなあと思います。
どんなに悲しい記憶も大切な思い出も、時間が経てば徐々に薄れていってしまう。思い出の場所がなくなっても、記憶が薄れていっても、その出来事が今の自分を形成する。記憶の喪失がイコール体験そのものを失うわけではない。ヨリエさんがムクオさん、ホノカゲと過ごした8年間は決してなくしたわけではない。確かにホノカゲは彼女から悲しむ時間を奪ってしまったけれど、悲しみを柔らかに受け入れた今の彼女を作ったのはその共に過ごした8年である。彼女はこれからもこの悲しみを抱えて生きていく……。
あまりに優しすぎて泣けてしまう。
3回目にして初めて気づいたんですけど、最後に枯れ木が急に成長したのはおそらくニャンコ先生の台詞、「妖力に触れて成長する妖の木もあると聞く。私の妖力に触れて成長したか」から考えるとホノカゲの力に触れたからなんですよね……?
だとすると、ホノカゲが去ってみんなの記憶から消えた後も、ホノカゲが残したものがあの場所に残ることになるんですよね……。
ホノカゲは「僕がいる間だけ世界がまるごと変わってしまう」と言っていたけど、ホノカゲが去った後もこの木だけは元の世界には帰らなかった。彼が8年間確かにここにいたという証拠になっている。
これからもヨリエさんはあの祠に通うはずで、そこで嬉しかったことや悲しかったことをいろいろ報告するはずで、そしてその場所にホノカゲが残したあの木があるという事実……。「なかったことにはならない」ということをあの木が象徴しているようでEDとても泣きそうでした。なんて優しいんだ。
滝のシーン、音楽と妖の台詞とが相まってどこか恐ろしくとても好きなんですけど、恐らくあそこの台詞もこの映画の根幹を表す部分ですよね。
「人の流れとはちょっとしたことで変わってしまうはかないもの」
レイコさんはゴチョウ町にほんのわずかしかいなかったけど、レイコさんのことを覚えている妖も人もいる。そしてレイコさんと出会った妖の一人であるもんもん坊が、序盤で夏目くんのことを助けてくれるんですよね。
「さざなみとなって流れを変える」、そのさざなみの端にレイコさんもいたんですよね……。連綿と繋がって今に至る、その流れがあまりに綺麗すぎる。
変わらず優しい物語で、最高でした。
うまく言葉にできないのがもどかしい。
何回も観たいんですけど、何回も繰り返し見るのはなんだか勿体ないような気がして、この数回で得られた感情だけをずっと大事にしたいような、そんな気持ちです。
映画館でこんな優しい物語を観せてくれてありがとう……。
劇場版夏目友人帳第二弾しません?